「知っておきたい治療や病院情報」アーカイブ

フットケア 実技指導

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フットケア、皆さんはどのようにされていますか?

訪問入浴やデイサービスでの対応が難しくなった時「訪問看護でお願いします!」と言われても困ってしまうケース、ありませんか?皮膚科の通院や訪問診療がある場合は良いのですが、そうでない場合はこれまでの経験をかき集めての対応でした。

しかし、先日どう頑張ってもこれ以上は難しい!という方にお会いしました。そこで、勉強会を開催することに。講師の先生には、基礎からフットケアの講義を聞く、というのではなく、困っていることに答えて頂ける個人授業のような講義をお願いしたく、来て頂いたのが関本恵子さんでした。

お約束の時間にステーションを訪れた関本さんは、施術に必要な大きな荷物を引っ提げて、いらっしゃいました。そして、患者さんのお宅に一緒に訪問。まるで歯医者さんのようなフル装備で粛々とフットケアをしながら説明、細かい質問を受けて下さいました。
一時間後、利用者さんの足はピカピカに!やはり、プロの方でないと出来ないことある、と実感しました。その上で、次回から私たちがどうやって対応していったら良いかも教えて頂き、訪問は終わりました。

その後は、スタッフからの質問攻め。ステーションで用意しておいたら良いフットケア用品から、泡で行う簡単足浴まで教えて下さいました。あっという間の3時間!充実でした。

関本さん、本当にありがとうございました。

腹膜透析:ホームAPDシステム ゆめ

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先日、外泊される70代の方への訪問看護の準備のために、腹膜透析についてバクスターの方を講師に迎え、勉強会を行ないました。自宅で使用するのは、ホームAPDシステム ゆめ。
http://www.baxter.co.jp/index.html

2時間かけて、セッティングから片付け、トラブルシューティングまでじっくりと教わることが出来ました。初体験の感想は、重い液体や多数の作業工程、感染対策など、高齢のご夫婦には正直荷が重いのではないか、という気持ちになりました。

しかし「この作業に慣れて簡単に出来るようになること」が目標ではなく、「説明書をしっかりと熟読し、一つ一つの作業を確実に行なえるようになること」が目標である、と聞いて納得。自宅にいる時間を長く、安楽に過ごすための重要なアイテムであるPD。日常生活の一部としてPDが組み込まれ、困った時の対応や、日常の感染対策など、訪問看護がご夫婦の安心と安全のお手伝いをする。新しい機械だから、と肩肘張らなくても、いつもの看護そのものである、との気持ちになることが出来ました。

新しいことをする時は、看護師もストレスがかかり、不安になるもの。そうした気持ちを払拭するためにも、こうした勉強会は本当に貴重な機会になっていると思います。また、スタッフが「どうやってこの患者さんを支えたら良いか」「こうしたら患者さんが喜んでくれるのでは」という視点でディスカッションしている姿を見て、お互いの信頼が増しました。本当に嬉しかった♪

PDの利用は広がりをみせ、最近では施設での導入や小児にも広がってきているそうです。PDは恒久的なものではなく、8年程で血液透析へ移行するとのこと。この貴重な自宅での生活をどんなふうに思い描いているのか、ご夫婦にお会いするのが楽しみです。

もし親が病気になったら : 女性セブン

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5月23日発売の女性セブンの特集記事にコメントが掲載されました。
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんとご一緒です。
 
週刊誌は沢山の方の目に触れるからか、とても分かりやすく表現されていました。
下記リンクからも記事の一部を読むことが出来ます。
 
最近は介護や医療の特集がテレビ・雑誌で急激に増えているように思います。
数日前のNHK朝イチの介護特集でも、太田さんが出演されていました。
 
多様な媒体に情報が載れば、きっと必要としている方に届きますね。
 

最近、相次いでがん末期の方が植物状態に近くなりました。

 

がんは、亡くなる数日前?当日まで意識がしっかりしている場合が多い印象があります。

さっきまでしっかりご飯を食べていたのに、食休みが終わって声をかけたら返答がなくなり、半日も経たずに亡くなた、、、、ということもまれではありません。

 

そんな中、一週間以上意思の疎通が出来ない状態となった患者さんがいました。

調子の良い日は手を握れば握り返してくれたり、家族の問いかけには小さな呻き声で反応したり。そんなかすかな反応がある日もあれば、全く何も反応が返ってこない日もありました。眼を閉じて横たわっている患者さんの傍らで、この方は何を感じているのか知りたい、と痛切に思いました。

 

熱が出ているけれど熱くはないのか、逆に寒気を感じてはいないのか?

口腔ケアを嫌がって歯を食い縛っているけれど、喉は乾いていないのか?

家族に何か言いたいこと、伝えたいことはないのか?

 

伝えられる手段があれば、どんなに良いか。

そんな時、「満月をきれいと僕は言えるぞ」という本に出会いました。

 

この本は脳幹出血で倒れ、植物状態と宣告された宮田さんが主人公です。元同僚の山元さんは、どんな状況に陥っても人は絶対に意思を持っていると疑わず、宮田さんに関わっていきます。その結果、山元さんは意思伝達装置を使い、宮田さんと言葉を交わします。

 

この活動は、「白雪姫プロジェクト」として今も広がっています。このプロジェクトは、諦めない心、出来ることをコツコツと繰り返す根気、するどい観察力の大切さを知らせてくれます。

 

意思の疎通が出来なくなった人を前に、重い気持ちでいる人を奮い立たせてくれるプロジェクト。皆さんにも是非知って欲しいと思います。

リンパ浮腫

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乳がん、子宮がんの手術・放射線治療を経験した方は「リンパ浮腫」という言葉を耳にしたことがあると思います。リンパ管の働きが治療によって障害されることで、皮膚組織のある部分に体液が溜まってむくみが起こる病気です。張った感じやしびれ、だるさ、また見た目の変化につらい思いをすることがあります。

 

直後にかかる方もあれば、かからない人もいます。そのため、予防法やセルフケアの方法を学ぶ必要があります。入院中や外来受診中であれば看護師が説明する場合が多いでしょう。病院によってはリンパ浮腫の専門外来があり、セラピストが対応しているところもあります。患者会でもマッサージの実践や勉強会、お話会など開催しているところも増えて来ました。リンパマッサージは週に一回だけプロの人にやってもらうより、正しい方法で短時間でも毎日継続していくことが大切です。セルフケア・セルフマッサージがとても大切です。

 

では、在宅ホスピス(在宅緩和ケア)を受けている患者さんの場合はどうでしょうか?

外来受診をしていた頃はリンパ浮腫はなかったのに、自宅に戻ってからリンパ浮腫が発症した、もしくは悪化した、という方に出会うことがあります。外に出掛けることが困難になり、ベットに横になっている時間が増え、体位を変えることも大変になってくると、リンパの流れが滞り、浮腫が悪化していく原因となるようです。また、体力が低下することで日常の細かいことをする時間が減少していきます。これまで自己管理を適切に行ってきた方も、マッサージや保湿に割く時間、体力がなくなってくることで浮腫が悪化することになるのでしょう。

また、病気の進行や全身状態の悪化も原因の一つになってきます。

 

家族の方は、自宅で療養しているにも関わらず、ひどくなっていくリンパ浮腫を見るにつれ非常に辛い思いをもたれます。ケアをしている自身のせいではないか、と自分を責める気持ちが働くこともあるのかもしれません。また、徐々に悪くなっていくご本人の体調を突きつけられるような気持ちになるのかもしれません。

 

そんな時、訪問看護師にリンパ浮腫マッサージをして欲しい、辛さを取って欲しい、治して欲しい、と依頼があります。患者さんの体力を考えると、座ったり、立ったり、横になったり、という動作自体が難しい場合も多く、誰かの手をかりることが必要です。

 

患者さんの安楽を中心に、しかし家族の「治したい」気持ちもくみ取りながら行うのが在宅ホスピス(在宅緩和ケア)のリンパマッサージです。一人一人個別のケアです。

 

 

在宅ホスピス(在宅緩和ケア)の現場で、患者さんとご家族に「リンパマッサージとは何か?」を分かりやすく説明するためのツールを探していたのですが、セルフケアを詳細に解説する専門書は沢山あっても、概要を一目で理解できるようなツールはなかなか見つかりません。

そこでたどり着いたのが、アスパラの会 (婦人科がんのサポートグループ)http://www.asparadise.net/ が作成しているこちらのツールです。

 

リンパ浮腫のセルフケアマッサージシートと小冊子

http://www.asparadise.net/selfcare.html 

 

セルフケアのためのマッサージシートですが、豊富な写真と図が分かりやすく、訪問看護師が自分のために使用するにも良し、こんなことをしますよ、と患者さんに説明するにも良し、の優れものです。購入にあたって事務局の方とお話しさせて頂いたのですが、具体的なアドバイスをいくつも下さり、励ましても頂きました。感謝感謝です

^_^

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2010年の高齢化率が23.1%となり、ついに私たちの社会は超高齢社会(65歳以上の人

が総人口に占める割合が21%を超える)となりました。

 

それに伴い、高齢者が食べられなくなった時、人工的な栄養・水分補給についてどう

考え、どう実践していくのか、は大きな課題となっています。

 

動物は口から食べられなくなれば死にます。しかし、人間はその代替手段を持ってい

ます。その手段をどう使っていくのか、私たち一人一人の死生観とも直結している問

題でもあり、簡単には答えを導き出せるものではありません。

 

今日ご紹介する「高齢者ケアと人工栄養を考える‐本人と家族の意思決定プロセス

ノート」

PDF: http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/ahn/pdf/processnote_all.pdf  

は、食べられなくなったときにどのような選択に至るか、その意思決定のプロセス

を、ご本人とご家族が、医療者の助言も得ながら、一歩一歩たどることを応援できた

ら、という思いで作られています。(「高齢者ケアに関する意思決定プロセス」研究

班のページ http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/ahn/index.html より一部引

用)

 

 

現在、日本老年医学会「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン:人工

的水分・栄養補給を中心として」の作成を目指してガイドラインの試案と意見公募が

行われています。ご興味のある方は下記参考にして下さい。

 

上記ガイドラインへの意見書き込み・送信用ファイル

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/guideline/index.html

 

また、参考になる調査として下記もご紹介します。

 

認知症患者の胃ろうガイドラインの作成

―原疾患、重症度別の適応・不適応、見直し、中止に関する調査研究―

http://www.peg.or.jp/news/research/h22_peg.html

 

胃ろう(PEG)手帳

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胃ろう造設直後のがん患者さんが帰宅することになりました。

 

在宅では、ご家族の方が疾患を詳しく知りたい時や、ケアの方法を知りたい時に看護

師向けの書籍を購入して参考にしていることがあります。

しかし、介護をしながら厚い本を読みこむことはかなり大変だろうと思います。

終末期の患者さんの介護をされている方は特にそうでしょう。

 

そこで、在宅で短時間で分かりやすく読むことが出来る安価な物、かつ記録も出来る

物、という視点で探した結果、

 

NPO法人PEGドクターズネットワーク

http://www.peg.or.jp/

 

の胃ろう(PEG)手帳

http://www.wisecart.ne.jp/peg001/7.1/1/

 

を見つけ、取り寄せてみました。

これが、とても使いやすそうだったためご紹介します。

 

・大判で手に取りやすい大きさです

・字が大きく、カラーで写真やイラストが多用されていて、見やすくなっていま

PEGの種類や次回の交換日が記録できるようになっています

・一冊500円です!

 

記載されている内容は、基本的な事項がほとんどです。そのため、造設前に手に取る

ことが望ましいと思います。

とはいえ、困った時の対処法が写真とイラストで示されており、在宅で「これはおかし

いな?」と感じた時、比較出来るようになっています。異常がどんな物かを知ること

で、早期発見に役立つことでしょう。

 

次回の訪問日には、一冊持参してみようと思います。

 

 

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がん患者さんの訪問看護中に、「涙が止まらない」「すぐに涙が出る」と涙に関する

訴えがありました。訴えの内容がよく似ており、お一人の方は起き上がると片方の目から、どっと涙が溢れ落ちて着物を濡らしてしまう程でした。その時は理由が分からないながらも、非常に気になっていました。

 

今回、「抗がん剤治療と眼の症状」(静岡県立静岡がんセンター発行の冊子)を読む

機会がありました。

http://survivorship.jp/eye/index.html

 

抗がん剤の副作用が眼の症状として現れる、ということは初めて聞きました。

実際、冊子の中の「原因と頻度」という項目にも、「明確なことをお伝えするには、

まだまだデータ不足です」と書いてありました。ただ、涙の中に排出された抗がん剤

が、目の組織にダメージを与えるためではないかと推測されているそうです。

 

何よりも早期の処置が大切、とのこと。気になる患者さんには主治医へ相談し、必要

があれば眼科受診をする場合があることをお伝えしていきたいと思いました。

緩和医療専門医

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先々月のことになりますが、618日-19日の2日間に渡って開催された「第15回日本緩和医療学会学術大会」に参加しました。

http://jspm2010.umin.jp/index.html

 

皆さんは、緩和ケア(緩和医療)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞いたことがある方はこの言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?人生の最後に受ける治療といったイメージをお持ちをではないでしょうか?

 

緩和ケアとは、まずは痛みを抑える、体に負担の大きな治療は一時中断する、不安に耳を傾ける、といったことを通じて心身の状態を整え、再度治療の可能性があればまた治療を受けることが出来る、という医療です。決して緩和ケアは死に行く人だけを対象にした治療ではありません。

 

このように緩和ケアは患者にとって大きな助けであることは間違いありませんが、これから発展する医療分野であることから、情報を目する機会はまだ多くありません。そこで楽患日記で参考になるトピックを紹介していきます。

 

さて今回の学会で始めて緩和ケアの専門医が紹介されました「緩和医療専門医」の1期生12人輩出です。この資格は、NPO法人緩和医療学会が緩和医療の専門性を確立し、制度的に保証すること、そして質の高い緩和医療を普及させることを目的に認定しています。これからの緩和医療の先導的役割になる方々となることでしょう。病院選びの際に参考になる情報です。

 

201041日に認定された緩和医療専門医の一覧はこちら(PDF

http://www.jspm.ne.jp/nintei/pdf/senmoni100401.pdf

  

 

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介護・福祉の応援サイト ”けあサポ” (運営:中央法規出版) ”健康の作り方”コーナーにて連載を始めました。

週に1回更新の予定です。

 

タイトルは

病気との付き合い方 ?医療コーディネーターからの手紙

です。

 

納得して医療を受けるヒントを多く紹介しています。ぜひご覧下さい。

日野原先生の連載も同じコーナーにあります。内容とても勉強なります。

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いつもお世話になっている がん患者会シャロームさんのブログに興味深い記事「声を失った方の『悠声会』」がありましたので、こちらでもご紹介します。

悠声会」とは、喉頭がん、咽頭がんの手術で声帯を失った後、声の回復に「気管食道シャント法」を取り入れた方々の団体です。

ここでは、気管食道シャント法について分かりやすくまとめてみたいと思います。

がんの手術で声帯を失った場合、これまでは食道発声や電気式人工喉頭(エレクトロラリンクス)を使用して声を取り戻すことが一般的でした。しかし、食道発声は習得にかなり努力が必要とされ、すべての人が習得できるわけではありません。また、電気式人工喉頭は、電機カミソリのような機械を喉に当てて話をしますので、会話の相手が機械を初めて見る方の場合は驚かれる場合があります。また、機械を通した声ですので、元の声とはかなり違います。

そこで、欧米では昔から取り入れられていた気管食道シャント法が、90年代後半から日本でも検討されるようになりました。この方法は、これまでの発声法に較べて発声が簡単で(訓練不要)、より自然に近い声がでます。手術の時期は、がんの手術後、永久気管孔が落ちついた頃となります。平均すると術後1カ月ぐらいと考えて良いようです。

留置にかかる時間は5分ほど。気管と食道の間に孔をあけ、プロヴォックス(新世代のヴォイスプロテーゼ)というシリコン製のチューブを留置します。漏れなどの確認のために、2-3日から1週間ほど入院しますが、手術当日から食事もできるそうです。

難点は、費用と日々のケアと言われています。詳細は、この記事の引用元である「難しい食道発声はもういらない。訓練なしで、自然に声が出せる 失われた声を回復する簡単 気管食道シャント法」 がんサポート情報センター をご覧ください。

がんを治すためには声帯を取り、声が出なくなる、と告げられた方が、声を失わずにすむ方法があると知ることで、どんなに安心して、前向きに手術に向き合うことが出来るでしょう。これまで少なからず、声を失いたくないために手術を迷い、避けてきた方がおられることでしょう。まさに情報は命ですね。

参考記事:あや流一期一会日記 8月12日 シャント発声の勉強会。相次いで講演。風のかたち。

posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

今年の初めにエントリーしました「がんペプチドワクチン療法」は、大変アクセスの多い記事です。それだけ、こうした新しい療法に希望を賭ける患者さんが多くいらっしゃるのだと思います。

今回ご紹介する記事は、ペプチドワクチン療法に延命効果があることが実証された、という報道です。
効果があるのは、「ワクチンに反応するリンパ球が陽性の患者」さんと限られており、治癒ではなく延命効果であることをきちんと理解する必要はありますが、大勢の患者さんに朗報であることは確かです。

今後、第4の治療法として成長していくことを期待したいと思います。

がんワクチン治療に延命効果 免疫との関係を初めて実証 
2009年7月29日7時57分配信 産経新聞

 免疫力を高めてがん細胞を攻撃するペプチドワクチン療法の臨床試験で、ワクチンに反応するリンパ球が陽性の患者は陰性の患者に比べて生存日数が2倍以上長く、末期患者も半数が400日以上生存することが28日、東京大学医科学研究所の中村祐輔・ヒトゲノム解析センター長のまとめで分かった。免疫反応と治療効果の関係が科学的に証明されたのは初めて。体質に合った効率的な治療に役立つと期待される。

 中村センター長は全国の大学病院などの協力を得て臨床試験を実施。平成18?20年に行った130人の長期生存患者の血液を分析し、ペプチドワクチンに対するリンパ球の反応を調べた。その結果、陽性患者では半数以上が400日以上生存し、800日を超えた患者も4割近かった。一方、陰性患者では半数が200日以内で亡くなり、400日以上生存した患者は約2割だった。

 中村センター長は「ワクチン療法の効果を科学的に実証できたのは画期的。患者ごとの治療効果を早期に検証することが望ましい」と話す。

 ペプチドワクチン療法は、がん抗原からアミノ酸化合物のペプチドを人工的に合成し、投与する。強い副作用がないとされ、外科療法、抗がん剤療法、放射線療法に次ぐ「第4の治療法」として注目されている。

前回ブログ:がんペプチドワクチン療法(2009/1/26)

愛する人を救うために―脳卒中になったとき

医療に関する言葉は「分かりにくい」とよく言われます。
病気の予防行動や緊急時の対応に関しても同じです、

そこで世間一般の流れに追いつこうと、医療関係の講演会やパンフレットでも、アニメーションや漫画、笑いなどを活用して、「分かりやすく市民へPRすること」を意識するようになってきました。

中でも、物事を明確にインパクトがあるように伝えるには、相手の視覚に訴えることが重要だ、と言われています。最近のこうした世間の流れに沿う形で、脳卒中の対処法を伝えるビデオが作製されました。そして何とこのビデオ、歌も付いています♪

愛する人を救うために―脳卒中になったとき

見終わると、FAST!という赤い文字と元気な音楽が耳に残ります。

また、脳卒中という病気そのものを理解してもらうために、患者体験の生の声をそのまま伝える動画もありましたのでご紹介します。今年の5月にNHKで放送された脳科学者テイラー博士の動画ですので、御存じの方もいらっしゃるかと思います。

http://www.ted.com/index.php/talks/lang/jpn/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight.html

こうして、医療という分かりにくい世界を、動画という分かやすい形でたくさんの方に伝えていくことは、病気を自分ごととして捉え、一人でも多くの方を病から救うことにつながることと思います。


posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

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大腸がんにかかる人も、大腸がんで亡くなる人も、年々増加していると言われています。女性のがん死亡原因第一位は大腸がんであり(人口動態計/平成16年3月15日発行)、2020年までの予測でも日本人のがん罹患率の第一位が大腸がんとなっています。(がん統計白書2004)

しかし大腸がんは他のがんと比べると比較的進行がゆっくりで、早期にがんを発見できれば、完治する可能性も高いと言われています。そこで大腸がんの早期発見を目指す検診が重要となるわけです。

しかし、標準的な検診の中でも大腸内視鏡検査は大腸に内視鏡を入れるわけですから、始めての方にはなかなか勇気のいる検査です。そんな大腸内視鏡検査に代わる検査として注目を浴びているのがバーチャル大腸内視鏡/コンピュータ断層撮影(CT)コロノグラフィです。

2008-09-17発表のNCI※臨床試験結果では、『標準的な大腸内視鏡とほぼ同等の成績を示し、結腸直腸癌の初回検診に応用できる』といいます。  
※NCI: 米国国立癌研究所

こんなに楽な検査であれば是非受けてみたい!と思う方も多いのではないでしょうか。ではこの検査、実際はどこで、どんなふうに受けることができるのでしょう?

こちらの記事をご覧下さい。
大腸がん検診で注目度高まる---CTコロノグラフィ体験記 (2009年5月26日)

この記事、体験談なのでリアルで分かりやすいです。早速、記者が体験したという国立がんセンターがん予防・検診研究センターへ問い合わせましたが、残念ながら、現在CTコロノグラフィの検診受付はしていないということで、今年度中の開始に向けて調整中とのこと。現在はどこの医療機関でも受けられる状況ではありませんが、病院によっては取り入れているところもあるようです。

負担の少ない検診が開発されていくことで、検診の受診率があがることは容易に予想されます。このような技術が広がっていくことで、気軽に大腸がん検診が受けられるようになって欲しいと思います。


posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

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抗がん剤治療を受けましょう」と医師から言われたら、あなたは何が一番気になるでしょうか?
治療の副作用や後遺症ももちろん気になりますが、一番は薬の効果、つまりがんが治るかどうか、ということでしょう。

抗がん剤の効果は、がんの種類でまったく異なっていると言われています。抗がん剤がよく効くがんもあれば、ほとんど効かないがんもあります。

また、抗がん剤がよく効くがんであっても、100%の人に効果があるわけではありません。効果も人によって違います。

抗がん剤の知識 (癌研有明病院)
http://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/cancer/cure/anti.html#top

抗がん剤といえば脱毛や吐き気を思い浮かべるというように厳しい治療です。
それ故以前より、”これから自分が受ける抗がん剤が効果があるかどうかを事前に知りたい”というのは治療を受ける患者さんの願いでした。

そんな望みに応えるべく、1990年代半ばから抗がん剤の効果を事前に判定しようという動きができてきました。

無駄な副作用を排除する先進医療・抗がん剤感受性試験  慶應義塾大学医学部 久保田哲朗教授
(2007年 医療安全推進者ネットワーク)

この記事の中で久保田教授は、

今後は、少量の検体(組織)があれば検査可能な分子生物学的な手法が日進月歩の勢いで発展しているので、内視鏡でごく少量のがん組織を採取する、もしくは血液を採取して、がん細胞の遺伝子や増殖に関わる遺伝子およびたんぱく質とその活性を調べて判定する方法が可能になるであろう。

と述べています。
そしてまさに下記の記事では、抗がん剤が効くタイプの患者かどうかを、遺伝子検査などで事前に判定する試みについて紹介されています。

抗がん剤の効果 事前判定 (2009年5月14日 読売新聞)

上記記事より一部引用
進行した大腸がんに対する新しい抗がん剤「セツキシマブ(商品名アービタックス)」について、国立がんセンター東病院(千葉県柏市)は5月、患者の遺伝子検査を、一部に保険がきく先進医療として始めた。


このように、同じ病気でも個々人の遺伝子の特徴などから治療法を変える、オーダーメイド医療が21世紀の中心的な医療になる可能性があると言われています。辛い治療だからこそ、抗がん剤治療を受ける誰もが“自分に効く薬”を知って治療を受けたい、いう思いを実現する日はもうすぐそこかもしれません。


posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

医療コーディネーターの岩本です。

昨年末話題になり、最近問い合わせの多い「がんペプチドワクチン療法」について情報を整理しましたのでご紹介致します。

詳細は下記リンクに譲りますが、「がんペプチドワクチン療法」は現在、安全性を確認する試験の段階であり、実際にこの療法を受けるためには制約があることを考慮する必要があります。

制約とは、
*この療法を受けられる施設が限られること
*対象となる疾患が限られること
*臨床試験を受けるためには、他の治療法をある一定期間受けてはいけない、などの規約があること

です。これら全てをクリアして始めてこの療法を受けることができます。治療を検討される御自身がこの療法を受けることが出来るのか否か、という点から主治医とも話し合いをもつ必要があるでしょう。


以下、がんペプチドワクチン療法について詳細です。

NHKニュース9 動画

日経メディカルオンライン記事

東大医科研究所 中村裕輔 研究室

ペプチドワクチン療法 実施施設・医師一覧 PDFファイル
(PDF内に問合せ先が記載されています)

下記、日経産業新聞:2008年12月11日記事より転載

先端人
東大医科研究所 ヒトゲノム解析センター長
中村 裕輔氏

新たながんワクチン研究
 
免疫療法にゲノム駆使
ヒトゲノム(全遺伝情報)解析研究の第一人者で、複数のがん関連遺伝子を発見してきた中村裕輔(56)が新たながんワクチンを目指し、24年ぶりに患者を相手に臨床現場で奔走している。

外科や従来の抗がん剤では治療の難しいがんを克服するのが目的だ。


posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

がんの細胞分裂

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本日の「世界一受けたい授業」に中川恵一(東京大付属病院放射線科准教授)医師が出演し、がんの細胞分裂にかかる時間について語っていました。

患者さんから「自分の癌はこの大きさになるまで、どのぐらい時間がかかったのだろう?」と聞かれることが多いので、興味深く聞いておりました。

昨年の記事ですが、この件に関して詳しく載っていましたのでご紹介します。

「がんを生きる」対談 (毎日新聞 2008年12月21日 より転載)

乳がんのデータで説明しましょう。DNAが傷ついてがんが1個できて、それが1センチになるのに15年かかります。細胞分裂の数では30回です。1センチのがんが10センチになるには10回の分裂、5年です。1センチ以下のがんは発見できません。早期がんは乳がんだと2センチです。1センチが2センチになるには3回の分裂、1年半です。この間で発見することが大事です。

厚生労働省の「がんに関する普及啓発懇談会」にタレントの山田邦子さんに入っていただいています。山田さんは毎年検診を受けていたのに、忙しくて3年受けなかった。その間に乳がんが大きくなってしまった。2年に1回、きちんと検診を受けなければなりません。2センチまでの早期がんでしたら、治癒率は9割以上です。がんにならないようにする、がんになっても早期に見つけるようにする。これを心がけると、9割がた死なないのです。

posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

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病気や障害を抱えた子どものきょうだいを 「きょうだい児」 と呼びます。

私がこの言葉を知ったのは2002年に楽患ねっとを通じて知り合った「へなちょこcafé」管理人のひさもさんの活動からでした。清田悠代さん(ひさも)は知り合った当時、病気の子どもときょうだい支援などについて語り合うカフェ「へなちょこcafé」というHPを運営していました。


きっかけは中学生時代に弟さんが病気入院をしたことにるきょうだい児としての体験でした。詳細は彼女のHPに譲りますが、このHP運営から始まり、社会福祉士の資格取得、そして2003年からはしぶたね(Sibling Support たねまきプロジェクト)立ち上げと精力的に活動しております。

今回、医療保育士の最近の動向を知り、入院している子どもへの保育サポートはかなり進んできたという印象を持ちました。一方、入院している子どもの兄弟へのサポートはまだまだ変わらないのだと感じました。ひさもさんのHPには、4つの希望が書いてあります。

1.きょうだいの子ども達のためのプレイルーム
2.きょうだいのグループワーク
3.きょうだいストレス発散ツアー
4.きょうだいを亡くした子どものグループワーク

病院のプレイルームには、「入院しているお友達だけが遊べます」と書いてありました。感染管理のためには当然のことだと思います。でも、現実問題として病気の子どもの兄弟は、親がお見舞いや付き添いをしている間、どこにいれば良いのでしょうか?病院の廊下や小児病棟の扉の前で親を待っている小さな兄弟たちの姿をそのままにしておいて良いのでしょうか?片方の親が付き添い、片方の親が残っている子どもを見れば良い、という意見もあるでしょう。でも、そうした状況が長く続けば、
夫婦は話をする時間も、顔を合わせる時間もありません。子どもの病気という緊急事態を家族の力で乗り越えるためにできることが、まだまだたくさんあるのだと感じます。

チーム医療が叫ばれる現在、チームの一員は医療者だけではありません。本人と家族もチームの一員となれるような療養環境を整えていきたいものだと強く感じました。

医療保育士

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年始、小児病棟で保育士の方と出会う機会がありました。私は大学病院で勤務しておりましたので、大学病院規模の病院であれば小児病棟の中に病棟保育士がいるのは当たり前だと思っていました。ところがこの方の病院は総合病院ではありますが小児病棟の病床数は20床。急性期病院のため平均在院日数は一週間ということでした。正直、この規模の病院に保育士がいることに非常に驚きました。

そこで病棟のプレイルームにあった『実践医療保育 診断と治療社』を手に取ってみると、現在は病棟保育士とは呼ばず、医療保育士と呼び名が変わっていることも始めて知りました。

病棟保育士の重要性、専門性が注目され、学会活動が本格的になった時期は2002年度の診療報酬に病棟保育士加算が導入された時期と重なっています。2007年には350施設が医療保育士を導入しているそううです。また、2007年より日本医療保育学会において医療保育専門士の学会認定資格制度をスタートさせています。

医療保育士の必要性は、子どもの心身の発達やチーム医療の面からも、論じるまでもないと思いますが、とても印象的なエピソードが前述の「実践 医療保育」の中にありましたのでご紹介します。

それは、あるNICUでのお話でした。NICUで長期入院後退院した赤ちゃんが笑わない、というお母さんの声から、そのNICUでは思い切ってマスク着用を辞めたそうです。医療者がマスクをして赤ちゃんに向かっていれば、赤ちゃんは目しか見ることができない、だから赤ちゃんは笑うことを知らなかったのだという反省からでした。命を助けても笑うことを知らない人を作ったのでは片手落ちだという思いからでした。

そのNICUでは医療保育士のいる意義をこう説いていました。「緊張の表情の医師や看護師の代わりに、癒しや遊びの専門家である保育士の笑顔は特別なものである。」保育士がいることで、子どもは子どもらしく、社会を当たり前の日常を感じることができる。そんな小さなことからその人らしさは作られていく。

人が納得して医療を受けるためには、その人らしさを大切にすることが何よりも重要だと私たちは考えます。医療コーディネーターはその人らしくあることを支える専門家であり、医療チームの一員です。そして医療保育士もまた、「その人がその人らしくある」ことを支えるためのチーム医療の一員なのだと実感した年始でした。

病院の選び方

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病気になったら誰もが必ず思うことの筆頭に『いい病院にかかりたい』という思いがあります。
しかし『いい病院』を探すことは簡単ではありません。

その理由は、私にとって良い病院が、あなたにとっても良い病院かどうかは分からないからです。
また、私にとっても、この前は最高に良い病院だったけれど、今回は良くない病院だと思った、ということもよくあります。誰にでも普遍的に、確実に『良い病院』というのは存在しません。だからこそ、『いい病院探し』はいつでも最も難しい問題となるのです。

私たち医療コーディネーターは【私にとって良い病院とは?】を次の3点で考えています。

1.専門性
2.利便性
3. 相性

引き続き、それぞれを説明します。


1.専門性

体に不調を感じた時、自分はどこの病院にかかったら良いのか、といったことと同時に、何という科にかかったら良いのかも分からずに悩む場合もあるでしょう。例えば、乳房にしこりを感じたら何科へかかりますか?女性特有の臓器ですから、婦人科でしょうか?女性科でしょうか?それとも内科でしょうか?それとも外科?そもそも近くのクリニックで良いのでしょうか?大学病院でしょうか?しこりだから、すぐにがんセンターへ駆け込む必要があるのでしょうか?どの病院がどんな機能をもっているのか、病気にかかったことのない人であれば分からないことだと思います。

そして病名が分かった後も、どこに自分の病気の専門医がいるのかということは分かりません。そもそも専門医にかからなければいけないのかどうかすら分からないでしょう。がんならがんセンターにかかることが最善なのでしょうか。糖尿病なら糖尿病の専門医でなければいけないのでしょうか。答えはNOです。同じがんでも、その人の病状や何の治療を受けたいのかによって、専門性の高い医師に診てもらう必要がある時もあれば、そうではない時もあります。例えば、胃がんの初期で内視鏡の手術を受けるのであれば、内視鏡で胃がんの切除をした経験のない医師にかかるよりも、専門医がおり手術件数の多い病院にかかることを検討するべきでしょう。しかし、内視鏡の手術後に再発をして抗がん剤治療をする場合に専門医である必要があるでしょうか?抗がん剤の専門医と言えば、腫瘍内科医です。しかし現在の日本で腫瘍内科医は全国に205名(2008年4月時点)しかおりません。この資格はわずか2年前に出来たばかりの資格です。しかしこれまでも全国で実質的に抗がん剤治療を行ってきた医師はたくさんおります。つまり腫瘍内科医という最新の肩書きをもっていない医師でも十分実力と経験を兼ね備えている医師は存在するということです。

当たり前の治療、経験出来る数の多い治療法であれば肩書がなくても良い場合も多いのです。自分の場合は専門医に診てもらいたいという希望があるのか、それはなぜなのか、専門医でなくても経験がある医師であれば良いのかなど考えていく必要があります。


2.利便性

利便性のある病院とはつまり、どのような病院でしょうか。外来通院をしている患者さんであれば、片道30分以内で通える病院や、通勤途中にある病院など、通うのに便利な病院などがあげられるでしょう。また、家族が入院してもいつでも付き添えるように24時間面会が可能な病院、建て直したばかりの綺麗な病院、売店やその他サービスが充実していて入院していても自由に買い物が出来る病院、付き添いがいなくても必要な物は頼めば配達してくれる病院など、病院サービスがいき届いている病院、などが考えられます。

しかし、現実的には全国どこにいても自分が受けたい治療、入院したい設備が整っている病院があるとは限りません。例えば白血病となり骨髄移植が必要となった時に、移植の経験が豊富な医師が大勢おり、クリーンルームなど移植に必要な施設が完備していて、個室には長期入院をしていても外界との連絡がとれるようにインターネットなどの設備が完備している、という病院は探せば日本のどこかにはあるかもしれませんが、自宅の近くにはない可能性があります。こういった場合に、あなたはどこまで利便性を追及するでしょうか。自宅から遠く、家族が付き添うために自宅との往復に片道2時間以上かかる専門病院でしょうか?それとも、ある程度の施設は整っており、治療成績も中ぐらいだけれど、隣町にある古い病院でしょうか。あなたの立場によっても選択は変わってくるでしょう。御見舞いに来るのが老齢の両親なのか?小さな子どもを連れて週末だけ会いに来る若い夫なのかによっても変わるでしょう。また、非常に治療が難しい状況での移植治療なのか、それとも状態が安定している状態での移植なのか、など病状によっても答えは変わってくるのではないでしょうか。

こうして自身の状況を把握した上で初めて、条件にあった病院探しが始まります。このように利便性一つとっても、様々な個人的な状況を吟味した上でなければ『私にとっての良い病院』は見えてこないのです。


3.相性

『医師選びはお見合いだ』とか、『どんな人にも合う医師はいない』『医師も人だから患者さんとの相性がある』と世間でよく言われています。でも、この言葉を患者さんは素直に受け取ることが出来るでしょうか?優しい医師、話を聞いてくれる医師であれば、万人に良い医師と言えるのではないのか?医療者が医師を紹介する際に必ず『相性があるから、、、』というのは、トラブルを避けたい体の良い飾り文句なのではないのか?そう思っている人も多いのではないでしょうか。確かに人を紹介することによるリスクを避けたいという気持ちが医療者側にないと言えば、それは嘘になると思います。しかし、その言葉の意味はそれだけではありません。この『相性』という項目は侮れません。これは、私が医療コーディネーターという活動を通して、患者さん一人一人が同じ現象を体験しても違う感想をもち、医療に対する知識や物事の捉え方が大きく違うことを体感して実感したことでもあります。

患者と医師にも相性がある、という説明をする際によくお話する事例があります。それは医師の解熱剤の使い方です。解熱剤とは熱を下げるための薬ですが、この薬を使う熱の目安は一般的に38.5度以上です。では、実際にあなたの熱が38.5度になったとします。あなたは解熱剤を使いたいですか?それとも、体が辛ければ38.0度であっても使いたいでしょうか?もしくは39度であっても使いたくないでしょうか?それとも、『そんなことは医者が考えることだ!そんなこと患者に聞くもんじゃない!』と思うでしょうか。例えば、医師が決めるもんだ!と思っている患者さんが39度の熱を出した時、医師が懇切丁寧に解熱剤の身体への影響を説明し、私はこのような理由から解熱剤は使わない方が良いと思いますが、あなたが決めて下さい、といったらどう思いますか?『その医師はとんでもないやつだ!』と感じるかもしれません。ただ黙って辛い症状を取るのが医師の責務だ、患者である自分に決めさせるなんて責任逃れをしていると感じるかもしれません。

しかし、普段から我慢強く、出来るだけ薬は使いたくない、薬である以上副作用や後遺症が発生する確率はあるのでそのような犠牲にはなりたくない、と思っている患者さんに対して医師が、『辛ければ38.5度以下でも使って良いですよ。』と言えば、この医師は薬を甘くみている、リスク管理の出来ていない医師だと感じるでしょう。

また、別の例を挙げます。女性特有の病気で入院している患者さんが、男性看護師の存在をどうしても許せない、自分の看護は絶対にして欲しくない、男性看護師を雇っていて、女性に交代してくれと言っても変わってくれない病院の制度はどうしても許せないという人もいれば、技術が信頼出来るのであれば男性であっても女性であっても構わない、一々女性看護師がいいか男性看護師が良いかと聞かれるのは、逆に患者に性を意識させる行為であっておかしいと感じる、と考える人もいます。自分が今、どのような病気であり、どのような精神状況にあるから何を医療現場に求めているのか、ということが見えてこない状態では、どのような医療者が相性の良い医療者なのかは見えにくいものなのかもしれません。


上述した3つを全て満たす病院が良いのは言うまでもありませんが、現実的には3つのうちいずれかで妥協点を探すことがほとんどです。本人や家族の思い、価値観に照らして探っていくことになります。医療という専門的な分野、そして自分と家族のその後の人生に大きく影響を及ぼす決断ですから、この作業は困難を極めます。

専門性や利便性を考えた場合、どこに自分の必要としている病院があるのかを知るには情報が必要です。最近はインターネットや書籍でかなりの量の医療情報を入手できるようになりました。しかし、最新の信頼に値する情報、自分にとって必要な情報の見極めを医療者ではない人々が短時間で行うのは難しいのが現状です。

また、相性を考えた場合には、自身が医療に何を求めているのかを知る必要があります。これは、探して見つかるものではなく、自身の気持ちを整理して、病と生きていく自分や家族を想像し、築いていくとことが必要になります。この作業を、突然の病でいつもの精神状態でない自身やその家族だけで行っていくことは容易ではありません。

では、納得のいく病院選びをするにはどうしたら良いのでしょうか。それには、冷静である当事者以外の立場の人間、そして医療に明るい人間にサポートしてもらうことです。身近にいない、そんな時は医療コーディネーターをご活用下さい。


以上簡単ではありますが、病院選びのエッセンスをお伝えしました。

みなさまの病院選びの一助となることを願っています。


posted by 楽患ナース株式会社

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昨日は箱根にて、某企業の研修会で医療コーディネーターに関する講演を行いました。

講演では、乳がんの患者会ブーゲンビリアの内田絵子さんとご一緒しました。内田さんの研究テーマの一つは、がんの相談業務。その関連で、昨年・今年と東京のがん拠点病院における相談支援センターを覆面で調査したそうです。その中で、建物が古いけれど、東京一光っているナースがいた拠点病院があったとのこと。そのナースの素晴らしさは、相談室に案内されてすぐに言われた言葉ににじみ出ていた、と内田さんは語られていました。

その相談室のナースは、「私はこの相談室が、患者さんが安心して泣けるような場所にしたいのです」と言ったそうです。

私は医療コーディネーターとして患者さんのご自宅に伺い、家族を交えて相談に乗る時一番大切にしていることがあります。それは気持ちを解放すること。その場に居合わせた全員が本年で語り合い、これまでの辛さを吐露しあい、お互いが同じ方向を向いて病気に向きあっていけるようにできたら最高だと思います。泣く、という行為は自分を素にし、相手の心を動かし、次のステージへと進む原動力になります。東京一だと言われた相談室のナースは、きっとそのことを知っているのだと思いました。

そして、内田さんという患者体験者であり、患者会の主催者として大勢の乳がん患者さんの声を聞き続けてきた方が、泣くことの大切さを語って下さったことは、本当に心に残りました。患者さんの声を聞くことは、自分自身の活動への振り返り、そして評価になると改めて思った出来事でした。


posted by 楽患ナース株式会社

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