2009年1月アーカイブ

前回、がんペクチドワクチンに関する情報を記事に書きました。その際、「がん患者会『シャローム』」をご紹介致しました。そして一昨日、このやり取りに関して、再度「がんペクチドワクチン情報!」というブログ記事を掲載して頂きました。

シャロームさんのブログからは、まっすぐな言葉で、感情を伴った患者さんの声が聞こえてきます。患者さんの本音を聞くことが医療コーディネーターを育てます。貴重な場をありがとうございます。

患者会の方々と相互に情報共有、意思疎通が出来ることは本当に素晴らしいことだと思います。少しづつですが、有益な情報提供が出来るようにこれからも努力していきたい思います。

シャロームさん、そしていつもお世話になっている患者団体の方々、今度ともどうぞよろしくお願い致します。


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医療コーディネーターの岩本です。

昨年末話題になり、最近問い合わせの多い「がんペプチドワクチン療法」について情報を整理しましたのでご紹介致します。

詳細は下記リンクに譲りますが、「がんペプチドワクチン療法」は現在、安全性を確認する試験の段階であり、実際にこの療法を受けるためには制約があることを考慮する必要があります。

制約とは、
*この療法を受けられる施設が限られること
*対象となる疾患が限られること
*臨床試験を受けるためには、他の治療法をある一定期間受けてはいけない、などの規約があること

です。これら全てをクリアして始めてこの療法を受けることができます。治療を検討される御自身がこの療法を受けることが出来るのか否か、という点から主治医とも話し合いをもつ必要があるでしょう。


以下、がんペプチドワクチン療法について詳細です。

NHKニュース9 動画

日経メディカルオンライン記事

東大医科研究所 中村裕輔 研究室

ペプチドワクチン療法 実施施設・医師一覧 PDFファイル
(PDF内に問合せ先が記載されています)

下記、日経産業新聞:2008年12月11日記事より転載

先端人
東大医科研究所 ヒトゲノム解析センター長
中村 裕輔氏

新たながんワクチン研究
 
免疫療法にゲノム駆使
ヒトゲノム(全遺伝情報)解析研究の第一人者で、複数のがん関連遺伝子を発見してきた中村裕輔(56)が新たながんワクチンを目指し、24年ぶりに患者を相手に臨床現場で奔走している。

外科や従来の抗がん剤では治療の難しいがんを克服するのが目的だ。


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がんの細胞分裂

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本日の「世界一受けたい授業」に中川恵一(東京大付属病院放射線科准教授)医師が出演し、がんの細胞分裂にかかる時間について語っていました。

患者さんから「自分の癌はこの大きさになるまで、どのぐらい時間がかかったのだろう?」と聞かれることが多いので、興味深く聞いておりました。

昨年の記事ですが、この件に関して詳しく載っていましたのでご紹介します。

「がんを生きる」対談 (毎日新聞 2008年12月21日 より転載)

乳がんのデータで説明しましょう。DNAが傷ついてがんが1個できて、それが1センチになるのに15年かかります。細胞分裂の数では30回です。1センチのがんが10センチになるには10回の分裂、5年です。1センチ以下のがんは発見できません。早期がんは乳がんだと2センチです。1センチが2センチになるには3回の分裂、1年半です。この間で発見することが大事です。

厚生労働省の「がんに関する普及啓発懇談会」にタレントの山田邦子さんに入っていただいています。山田さんは毎年検診を受けていたのに、忙しくて3年受けなかった。その間に乳がんが大きくなってしまった。2年に1回、きちんと検診を受けなければなりません。2センチまでの早期がんでしたら、治癒率は9割以上です。がんにならないようにする、がんになっても早期に見つけるようにする。これを心がけると、9割がた死なないのです。

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がんと希望

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昨日、一昨日とがん関連の興味深い話題が報道された。

一つは朝日新聞の「望ましい死のあり方」に関する研究結果を伝えた記事。(文末に転載)

もう一つはテレビ朝日報道ステーションの「がん難民コーディネーター」密着取材放送。

がん難民コーディネーターの活動は、まさに東大の研究結果「がんと最後まで闘うこと必要―患者81%、医師19%」が背景にあると感じた。

がん難民コーディネーターは、がん患者に希望を与えるために活動を展開しているように感じた。活動内容の是非は別として、医療者ではない立場だからこそ出来るピアカウンセリングの一つの形だろう。

効果が出る可能性が極めて低いかもしれない治療法でも、明日をもしれない命でも、その療法を信じ、明日が来ることを信じている人に対して、「大丈夫」「頑張れ」と言う人の存在は大きい。そういう人がいてくれるからこそ、希望を持って生きていける方たちがいる、そんなことを放送を見て感じていた。


【2009年1月21日(朝日新聞)より転載】

「がんと最後まで闘うこと必要―患者81%、医師19%」

がんになったら最後まで闘うことが必要かどうか――。そんな問いかけに対し、患者と医師の意識にギャップがあることが、東大の研究グループが実施したアンケートで浮き彫りになった。

 東大病院(東京都文京区)の放射線科外来を受診中の患者450人と東大病院でがん診療にかかわる医師155人、看護師470人に加え、無作為に抽出した東京都に住む市民千人(20?79歳)を対象に、「望ましい死のあり方」について尋ねた。

 その結果、「最後まで闘うこと」は、81%の患者が必要と答えたのに対し、医師は19%にとどまった。一般市民は66%、看護師は30%。

 「やるだけの治療はしたと思えること」でも、92%の患者は必要と答えたが、医師は51%。「容姿がいままでと変わらないこと」は、必要としたのは患者70%に対し、医師は29%だった。

 研究グループは「医療者の回答は、現実や実現可能性を反映していると思える部分もある」としたうえで、「医療者は自らの価値観とがん患者や一般市民の価値観が必ずしも一致しないことを自覚すべきだ」としている。

 逆に、「残された時間を知っておくこと」は、医療者は89%が必要と回答したのに対し、患者は69%。「先々何が起こるかをあらかじめ知っておくこと」では79%の医師が必要としたが、患者では63%と医師よりも低かった。

 担当した東京大学大学院医学系研究科の宮下光令講師(緩和ケア看護学)は「このような価値観は人によっては重要だが、必ずしもすべてのがん患者が望んでいることではない。押しつけにならないよう個別に配慮されるべきだ」と指摘している。

posted by 楽患ナース【治療や病院選びの強い味方】

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病気や障害を抱えた子どものきょうだいを 「きょうだい児」 と呼びます。

私がこの言葉を知ったのは2002年に楽患ねっとを通じて知り合った「へなちょこcafé」管理人のひさもさんの活動からでした。清田悠代さん(ひさも)は知り合った当時、病気の子どもときょうだい支援などについて語り合うカフェ「へなちょこcafé」というHPを運営していました。


きっかけは中学生時代に弟さんが病気入院をしたことにるきょうだい児としての体験でした。詳細は彼女のHPに譲りますが、このHP運営から始まり、社会福祉士の資格取得、そして2003年からはしぶたね(Sibling Support たねまきプロジェクト)立ち上げと精力的に活動しております。

今回、医療保育士の最近の動向を知り、入院している子どもへの保育サポートはかなり進んできたという印象を持ちました。一方、入院している子どもの兄弟へのサポートはまだまだ変わらないのだと感じました。ひさもさんのHPには、4つの希望が書いてあります。

1.きょうだいの子ども達のためのプレイルーム
2.きょうだいのグループワーク
3.きょうだいストレス発散ツアー
4.きょうだいを亡くした子どものグループワーク

病院のプレイルームには、「入院しているお友達だけが遊べます」と書いてありました。感染管理のためには当然のことだと思います。でも、現実問題として病気の子どもの兄弟は、親がお見舞いや付き添いをしている間、どこにいれば良いのでしょうか?病院の廊下や小児病棟の扉の前で親を待っている小さな兄弟たちの姿をそのままにしておいて良いのでしょうか?片方の親が付き添い、片方の親が残っている子どもを見れば良い、という意見もあるでしょう。でも、そうした状況が長く続けば、
夫婦は話をする時間も、顔を合わせる時間もありません。子どもの病気という緊急事態を家族の力で乗り越えるためにできることが、まだまだたくさんあるのだと感じます。

チーム医療が叫ばれる現在、チームの一員は医療者だけではありません。本人と家族もチームの一員となれるような療養環境を整えていきたいものだと強く感じました。

医療保育士

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年始、小児病棟で保育士の方と出会う機会がありました。私は大学病院で勤務しておりましたので、大学病院規模の病院であれば小児病棟の中に病棟保育士がいるのは当たり前だと思っていました。ところがこの方の病院は総合病院ではありますが小児病棟の病床数は20床。急性期病院のため平均在院日数は一週間ということでした。正直、この規模の病院に保育士がいることに非常に驚きました。

そこで病棟のプレイルームにあった『実践医療保育 診断と治療社』を手に取ってみると、現在は病棟保育士とは呼ばず、医療保育士と呼び名が変わっていることも始めて知りました。

病棟保育士の重要性、専門性が注目され、学会活動が本格的になった時期は2002年度の診療報酬に病棟保育士加算が導入された時期と重なっています。2007年には350施設が医療保育士を導入しているそううです。また、2007年より日本医療保育学会において医療保育専門士の学会認定資格制度をスタートさせています。

医療保育士の必要性は、子どもの心身の発達やチーム医療の面からも、論じるまでもないと思いますが、とても印象的なエピソードが前述の「実践 医療保育」の中にありましたのでご紹介します。

それは、あるNICUでのお話でした。NICUで長期入院後退院した赤ちゃんが笑わない、というお母さんの声から、そのNICUでは思い切ってマスク着用を辞めたそうです。医療者がマスクをして赤ちゃんに向かっていれば、赤ちゃんは目しか見ることができない、だから赤ちゃんは笑うことを知らなかったのだという反省からでした。命を助けても笑うことを知らない人を作ったのでは片手落ちだという思いからでした。

そのNICUでは医療保育士のいる意義をこう説いていました。「緊張の表情の医師や看護師の代わりに、癒しや遊びの専門家である保育士の笑顔は特別なものである。」保育士がいることで、子どもは子どもらしく、社会を当たり前の日常を感じることができる。そんな小さなことからその人らしさは作られていく。

人が納得して医療を受けるためには、その人らしさを大切にすることが何よりも重要だと私たちは考えます。医療コーディネーターはその人らしくあることを支える専門家であり、医療チームの一員です。そして医療保育士もまた、「その人がその人らしくある」ことを支えるためのチーム医療の一員なのだと実感した年始でした。

あけましておめでとうございます。

このブログは医療コーディネーターとその他楽患ナースの活動報告として更新しておりました。今年はささらに日常生活の中で感じる医療や意思決定支援に関することを加えて、少し頻度を上げて、綴っていこうと思っています。

本年もどうぞよろしくお願い致します。