医療保育士

| コメント(0) | トラックバック(0)

31969508.jpg

年始、小児病棟で保育士の方と出会う機会がありました。私は大学病院で勤務しておりましたので、大学病院規模の病院であれば小児病棟の中に病棟保育士がいるのは当たり前だと思っていました。ところがこの方の病院は総合病院ではありますが小児病棟の病床数は20床。急性期病院のため平均在院日数は一週間ということでした。正直、この規模の病院に保育士がいることに非常に驚きました。

そこで病棟のプレイルームにあった『実践医療保育 診断と治療社』を手に取ってみると、現在は病棟保育士とは呼ばず、医療保育士と呼び名が変わっていることも始めて知りました。

病棟保育士の重要性、専門性が注目され、学会活動が本格的になった時期は2002年度の診療報酬に病棟保育士加算が導入された時期と重なっています。2007年には350施設が医療保育士を導入しているそううです。また、2007年より日本医療保育学会において医療保育専門士の学会認定資格制度をスタートさせています。

医療保育士の必要性は、子どもの心身の発達やチーム医療の面からも、論じるまでもないと思いますが、とても印象的なエピソードが前述の「実践 医療保育」の中にありましたのでご紹介します。

それは、あるNICUでのお話でした。NICUで長期入院後退院した赤ちゃんが笑わない、というお母さんの声から、そのNICUでは思い切ってマスク着用を辞めたそうです。医療者がマスクをして赤ちゃんに向かっていれば、赤ちゃんは目しか見ることができない、だから赤ちゃんは笑うことを知らなかったのだという反省からでした。命を助けても笑うことを知らない人を作ったのでは片手落ちだという思いからでした。

そのNICUでは医療保育士のいる意義をこう説いていました。「緊張の表情の医師や看護師の代わりに、癒しや遊びの専門家である保育士の笑顔は特別なものである。」保育士がいることで、子どもは子どもらしく、社会を当たり前の日常を感じることができる。そんな小さなことからその人らしさは作られていく。

人が納得して医療を受けるためには、その人らしさを大切にすることが何よりも重要だと私たちは考えます。医療コーディネーターはその人らしくあることを支える専門家であり、医療チームの一員です。そして医療保育士もまた、「その人がその人らしくある」ことを支えるためのチーム医療の一員なのだと実感した年始でした。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://non.rakkan.net/mt5/mt-tb.cgi/459

コメントする