『自分で決めること』はなぜ重要か

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人が何かを決断する時、「自分で決めること」が重要なのは当たり前。でも、改めて、なぜ重要なのかを言葉で表すことはできるでしょうか?

当たり前すぎて言葉には表わしにくいこの問いに、シンプルな答えを与えてくれる考え方を見つけましたのでご紹介します。いのちの授業でたびたび取り上げられる小澤竹俊医師のホームページ内からの引用です。(「ホスピスから学ぶいのちの教育」より)


***************引用ここから

人は、たとえ困難や苦しみの中であったとしても、次の3つの力によって、支えらます。

1.時間の力(時間存在)
2.関係の力(関係存在)
3.自律の力(自律存在)

関係の力(関係存在)とは

人間は弱い存在です。一人では乗りこえられないかもしれない...このような弱い存在です。しかし、手を伸ばせば先生がいて、看護師さんがいて、家族がいて、みんながいて....、だから、乗りこえていきたい、乗りこえられる、がんばりたいという力が与えられます。これが関係性の力です。


自律の力(自律存在)とは

「じりつ」の概念は、ちょっと難しいかもしれません。簡単に言えば、人は自分で自分のことを決めることの自由のために、強く生きようとする力が働くということです。専門的な言葉を使えば、自己決定できる自由のために、生きようとします。逆の言い方をすれば、人は自由を奪われると苦しくなります。たとえば、おなかがすいたときに食べるものを選べる自由が私たちにはあります。ところが、いつも決まった食事しか食べることができなければ、それはとてもつらく苦しいことでしょう。自由に食事を選びたいと願うことでしょう。このように、人は自分のことを自分で決めるための自由がほしいと願う存在です。

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もし、不治の病にかかり、残された時間がわずかとなった場合、将来の目標を失ってしまうだけではなく今を生きる理由を失うことになります。これは、時間の柱がおれてしまい、水平であった平面は傾いてしまう状態で表されます。これが、時間存在の柱を失ったスピリチュアルな苦しみが生じた状態です。

引用ここまで***************


村田理論(上記の図)では、時間存在の柱を失った時、残っている関係存在や自律存在の柱が太くなることで、傾いた平面は水平に安定し、時間存在の柱が再構築されたとき、平面は水平に安定すると説いています。

それでは、関係存在と自律存在の柱を太くするために出来ること、とは何でしょう?

関係存在を太くするためには、苦しんでいる当事者と関わりを持ち、その人との関係を密にしていくことができるでしょう。自律存在を太くするためには、自律、すなわち「自分で決めること」を尊重し、決めることができるように環境を整備し、決めるためのサポートをすることが出来ます。

例えば、医療コーディネーターの例をあげて考えてみます。

がんの再発・転移後に「もう治らないと病院から言われたが、諦めきれない」という患者さんがいます。
この患者さんのように、病気が治らない、すなわちあなたはもうすぐ死ぬのだとと告げられることは非常に苦しいことです。この時、患者さんは「時間軸」が折れてしまいます。

そんな時、医療コーディネーターは呼ばれます。患者さんは「死にたくない。そのための治療を受けたい」と訴えます。医療コーディネーターは、患者さんへ治療に関する情報提供をします。それは時間軸を再構成するための希望となるでしょう。

しかし、それと同時に、患者さんの支えとなることを告げます。病気についていつでも相談できる人がいること、話すことで医療に関する疑問や不安を解消することが出来る人がいること、それは患者さんの関係存在を太くしていきます。

また、医療コーディネーターは自立存在を支える役割でもあります。もうすぐ命が途切れるかもしれない中で、患者さんは自身の立場が弱くなり、家族や医療者との間で遠慮してしまうことも多くなります。しかしそのような中でも、医療コーディネーターは、患者さんの自律=自分で決めること を支えます。最後まで自分らしく生きる方法を考え、自分で決めて良いのだと自覚することで、自律存在は太くなっていくのです。

そして、もうひとつ重要なことは、この関係存在と自律存在は非常に密接に関わっていることです。

「自分で決める」ことだけを押し進めていっても、家族や医療者との関係が悪くなってしまうことは多々あります。その逆に、周囲との関係ばかりを重んじて、自分の意見を胸の内に秘めて苦しい思いをすることもあります。

自律存在と関係存在は相互作用している。そして、医療コーディネーターは、この両者のバランスをうまく釣り合わせる存在でもあります。中立な第3者が立ち会うことで、患者さんを取り巻く関係者皆の相互バランスを整えることは医療コーディネーターの大きな役目です。

医療における意思決定を支援することは、自律存在や関係存在を太くしていく支援であり、困難や苦しみを少しでも減らすサポートであるといえます。

posted by 楽患ナース ? 自分らしく納得のいく医療をサポート

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