緩和医療専門医

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先々月のことになりますが、618日-19日の2日間に渡って開催された「第15回日本緩和医療学会学術大会」に参加しました。

http://jspm2010.umin.jp/index.html

 

皆さんは、緩和ケア(緩和医療)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞いたことがある方はこの言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?人生の最後に受ける治療といったイメージをお持ちをではないでしょうか?

 

緩和ケアとは、まずは痛みを抑える、体に負担の大きな治療は一時中断する、不安に耳を傾ける、といったことを通じて心身の状態を整え、再度治療の可能性があればまた治療を受けることが出来る、という医療です。決して緩和ケアは死に行く人だけを対象にした治療ではありません。

 

このように緩和ケアは患者にとって大きな助けであることは間違いありませんが、これから発展する医療分野であることから、情報を目する機会はまだ多くありません。そこで楽患日記で参考になるトピックを紹介していきます。

 

さて今回の学会で始めて緩和ケアの専門医が紹介されました「緩和医療専門医」の1期生12人輩出です。この資格は、NPO法人緩和医療学会が緩和医療の専門性を確立し、制度的に保証すること、そして質の高い緩和医療を普及させることを目的に認定しています。これからの緩和医療の先導的役割になる方々となることでしょう。病院選びの際に参考になる情報です。

 

201041日に認定された緩和医療専門医の一覧はこちら(PDF

http://www.jspm.ne.jp/nintei/pdf/senmoni100401.pdf

  

 

 

 

二つ目のトピックは漢方治療についてです。学会では「緩和ケアと漢方治療」というタイトルで、癌研有明病院の星野惠津夫医師が登壇しました。星野医師は消化器内科部長を務める傍ら「漢方サポート外来(KSC)」を開院後1年目の2006年春から手掛けています。KSCでは、まず西洋医学での治療を十分行った上で、各診療科で対処できない症状を緩和する、という役割を担っているところが特徴的で、栄養サポート、心理的サポート、症状緩和に効果を上げています。

 

例えば癌の痛みがうまくコントロールできない場合を例にとってお話がありました。西洋医学では鎮痛剤や痛みの緩和を補助する薬剤を投与しますが、それだけでは十分に対応出来ない場合があります。そんな時KSCでは、ストレスや鬱々とした気分を和らげる漢方を処方します。痛みとは身体的な原因だけで引き起こされるものではなく、精神的な原因も大きく関わってくる場合があります。ですから、気持ちが晴れることによって食欲や全身状態が改善し、痛みの閾値(痛みを感じるライン)を低くすることが期待できます。うまく作用すれば、鎮痛剤を減らすことも出来る場合があります。他には、全身倦怠感、食欲不振、手術後の便秘、放射線治療後の口腔乾燥、などの症状にも効果を表しているそうです。

 

がん専門病院に漢方の外来があることに驚かれる方もいらっしゃると思います。そもそも漢方治療はこれまで、西洋医学的な見地から見るとエビデンス(本当に効果があるかどうかの証拠)が不足しているために補完代替医療と位置付けられていました。しかし、この状況を踏まえて日本東洋医学会では2001年から漢方治療におけるEBM(エビデンスベースドメディスン)特別委員会を設置し、エビデンスレベルの高い研究について、順次公開しています。エビデンスが出揃ってくれば、近い将来漢方も緩和ケアの標準治療となり、どこの病院でも受診できるようになるかもしれません。

 

体全体のバランスを整える、という発想である漢方は緩和ケアと相性が良いのだと思います。たくさんのエビデンスが集まることを私は願っています。

 

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